グループ法人税制

2020年11月13日 カテゴリー: コラム

グループ法人税制とは、

今から約10年前の平成22年に創設された「企業グループ」に対する課税制度のことを言います。

以外に歴史が古いことに驚きです。

 

グループ法人税制は主に2つに分類されます。

■連結納税 グループ企業の親会社が100%支配関係のある子会社と所得を合算申告を行う制度。

制度採用するかは、任意。国税のみが対象であるため、地方税は別個に申告する必要がある。

  • メリット:親会社で利益が出ており、子会社で損が出ている場合に、損益通算できる。他に税額控除をグループ全体で計算できる。
  • デメリット:事務負担が重いので、節税効果と増加する負担を比較考量する必要がある。

 

■グループ法人税制 100%の資本関係にあるグループ企業間で行なわれる一定の資産譲渡、寄附、

          配当等につき、税務上は損益を認識しない制度。

※条件該当で強制適用。所得に影響が生じるため、結果的に地方税にも適用されることになる。

  • メリット:グループ内の資源を有効活用が可能となる。
  • デメリット:直接的な節税効果があるわけではない。また強制適用であるため、意図しないところで調整計算が生じる恐れがある。

 

では、グループ法人税制の対象取引を具体的に挙げていきます。

①譲渡損益の繰延

100%グループ間で一定の資産の移転を行なったことにより生ずる譲渡損益を、譲受法人においてその資産の譲渡等の事由が生じたときに、その譲渡法人において計上する(法人税法61条の13)。

一定の資産とは以下のとおり。※譲渡直前の帳簿価額が1,000万円未満のものは除外。

1.固定資産

2.土地(棚卸資産である土地含む)

3.有価証券(売買目的有価証券、譲受法人において売買目的有価証券とされるものを除く)

4.金銭債権

5.繰延資産

☆想定活用例:親会社保有の固定資産(含み益あり)を子会社に時価で売却。

親会社計上の売却益は子会社が外部に売却するまで繰り延べられ、子会社は取得した固定資産を利用する。→無税で固定資産をグループ内で有効活用。

※譲渡資産が減価償却資産の場合は、子会社の償却に応じて、親会社で売却損益を段階的に認識する。

 

②寄付金の不算入

100%グループ間の寄附金について、支出法人において全額損金不算入とするとともに、受領法人において全額益金不算入とする(法人税法25条の2、37条2項)。

☆想定活用例:キャッシュ潤沢な子会社が、別の子会社に無税で資金移動。

 

③現物配当の簿価譲渡

100%グループ間の現物配当(みなし配当を含む)について、当該現物分配の、現物分配法人の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとする(法人税法第62条の5第3項)。

 

④配当の不算入

100%グループ内の法人から受けた配当等については、全額益金不算入となる。

☆想定活用例:事業会社である子会社が持株会社である親会社へ配当し、無税で親会社に資金移動。

 

これまではメリット部分についてでしたが、デメリットとしては以下が挙げられます。

⑤中小企業の特例の不適用

◎資本金の額が1億円以下の中小法人に係る次の制度については、資本金の額が5億円以上の法人の100%グループ内の法人には適用しない(法人税法66条6項二など)。

  • 軽減税率 年所得800万円以下の金額に対しては軽減税率適用
  • 特定同族会社の特別税率の不適用
  • 貸倒引当金の法定繰入率
  • 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
  • 欠損金の繰戻しによる還付制度

 

最後に

企業グループの経営を税制面で後押しする制度になっています。

けれども、メリットもあればデメリットもあるので、よく考えてご利用は計画的に!!!

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