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不動産を売却した場合の税金
2023年6月5日 カテゴリー: コラム
長期譲渡所得
不動産を譲渡した場合、譲渡所得が課税されます。譲渡所得には、長期譲渡所得と短期譲渡所得があります。短い所有期間で売却をしてしまうと、売却益が多かったとしてもそのぶん税金が多くかかります。(短期譲渡所得 所得税32.1%・住民税9%)
長期譲渡所得の計算
譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超える土地建物等を譲渡した場合の税額は、課税長期譲渡所得金額※に以下の税率を乗じて計算します。
【一般の場合】
所得税15.315%、住民税5%(復興特別所得税を含む)
【優良住宅地等の譲渡の場合】★令和五年度改正
課税長期譲渡所得金額(=土地等の譲渡益)のうち
・2,000万円以下の部分の金額:所得税10.21%、住民税4%(復興特別所得税を含む)
・2,000万円超の部分の金額 :所得税15.315%、住民税5%(復興特別所得税を含む)
※課税長期所得金額の求め方
課税長期譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
取得費が不明の場合は、原則として譲渡収入の5%相当額を取得費とします。
不動産の譲渡に関する税制面の特例
不動産の売却時には、控除や軽減税率の特例を利用できる場合があります。これらは重複適用できるものとそうでないものがあります。
〇3,000万円特別控除
〇10年超の長期譲渡所得の軽減税率
●特定の居住用財産の買換え
※〇は重複適用可、〇と●は選択適用
※譲渡損失の場合以下いずれかを選択適用
・居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の譲渡益通算・繰越控除
・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除
〇居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例
個人が、居住用財産を譲渡した場合には、その居住用財産の譲渡益から3,000万円の特別控除額を控除することができます。これは、所有期間に関係なく適用できます。
ただし、買換え等の特例との併用はできません。
【適用の条件等】
①所有期間・居住期間とも制限なし
②譲渡所得から3,000万円を控除(=課税譲渡所得)
※居住用部分にしか利用できない。90%以上であれば100%とみなす。
③3年に1回しか利用できない
④前年・前々年に買換えの特例や特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除等を受けていないこと
⑤買換え資産について住宅ローン控除の適用不可
※一定の被相続人居住用財産も対象となる。
〇居住用財産を譲渡した場合の軽減税率
個人が有する土地等又は建物等で、譲渡した年の1月1日における所有期間がいずれも10年を超える居住用財産(居住期間の制限はありません)を譲渡した場合、軽減税率が適用されます。
3,000万の特別控除の特例とこの軽減税率の特例は併用できます。
※3,000万円特別控除の特例は、所有期間に関係なく適用できます。
ただし、買換え等の特例との併用はできません。また、前年・前々年にこの特例の適用を受けていないことが条件です。
【税額の計算方法】
(課税長期譲渡所得金額-3,000万円)のうち、
・6,000万円以下の部分の金額:所得税10.21%、住民税4%(復興特別所得税を含む)
・6,000万円超の部分の金額 :所得税15.315%、住民税5%(復興特別所得税を含む)
の税率を乗じて求めます。
持ち家の状態や所有期間、買換えの条件などにより、どの特例を使うのが有利であるかが異なりますので、慎重に判断することが大切です。