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圧縮記帳について
2022年10月24日 カテゴリー: コラム
~圧縮記帳について~
1.圧縮記帳とは
有形固定資産を取得した際の補助金・保険金などの収益を固定資産の取得額から減額し、減額額を圧縮損として計上して、収益金と相殺する方法
直接減額方式と積立金方式の2つのやり方がある
2.背景と目的
・背景
国から交付される補助金などの収益に課税されることにより税金が発生し、資金不足となり、目的資産や代替資産を取得できない状況に陥ることのないように、租税政策と産業政策の点から設けられた。
国の助成金や交付金を申請する機会が増加していることや、災害による保険金で固定資産を再取得することが増えている。
・目的
いわゆる課税の繰り延べであり、あくまで税金を単年で納付することがなくなるだけで免除はされない。
3.圧縮記帳によるメリット
収益に課せられる税金を単年度で負担することがなくなり、固定資産を取得した年の税負担を軽減できる。単年で多くの納税をしなくてよいので、目的の資産を取得する資金を準備しやすくなり、資金繰りの負担も少なくなる。
⇒適用は任意のため、経営計画や投資計画書、翌期予算などを確認して適宜検討する
4.適用要件
圧縮記帳を行う場合には、圧縮限度額内で確定決算において1.~3.のなかから選択して経理処理すること。
①損金経理により「圧縮損」を使い帳簿価額を直接減額する方法(直接減額方式)
②損金経理により「積立損」使い「積立金」として積み立てる方法
③剰余金の処分により「積立金」として積み立てる方法(積立金方式)
※補助金交付に係る申請書、補助金交付通知書、補助金確定通知書、取得資産の明細など、圧縮記帳を行ったことを裏付ける書類は保管しておく
5.圧縮記帳の方法
①直接減額方式
直接減額方式は固定資産の取得原価を直接減額する。特別損失の固定資産圧縮損を使い、固定資産の簿価を受けた補助金分だけ減額する。補助金と固定資産圧縮損が相殺され、 損益は発生しない。
【仕訳】
現金預金××/国庫補助金収入××(補助金の入金時の仕訳)
固定資産圧縮損××/固定資産××(圧縮記帳の適用時の仕訳)
⇒国庫補助金収入相当額を固定資産から減額することで国庫補助金収入に課税される税金を固定資産圧縮損で相殺できる
②積立金方式
積立金方式は固定資産の取得原価を減額せず、圧縮限度額の範囲内で「圧縮積立金」として積み立てる。圧縮積立金は固定資産の取得時ではなく、決算時に積み立てる。
圧縮損を計上しないため、会計上の利益は増加する。税務上は圧縮積立金が損金算入されるため課税されない。
6.圧縮記帳限度額
①補助金を受けた場合
補助金の対象となった固定資産の取得額
※固定資産の取得事業年度と補助金の受給事業年度が違う場合や、翌事業年度に補助金の交付を受けた場合も、一定の方法により圧縮記帳を受けることができる(先行取得)※後ほど説明
②保険金で取得した固定資産の場合
被害直前の固定資産の簿価と滅失に要した経費、受け取った保険金額から保険差益計算し、代替固定資産の取得額を使い圧縮限度額を算出
保険差益:{(受け取った保険金)-(滅失に要した経費)}-(被害直前の固定資産の簿価)
圧縮限度額:保険差益×(代替した固定資産の取得額)÷{(受け取った保険金)-(滅失に要した経費)}
7.ケーススタディ
【前提】
・申告期:20×1/07/01~20×2/06/30
・申告期(20×2/02/04)に補助金の交付通知がされ、同期に固定資産を購入した
・翌期(20×2/07/27)に当該補助金の額が確定し、その旨の通知を受けた
【取り扱い】
・補助金の収益計上時期
交付決定通知日(20×2/02/04)であるため、申告期に収益を計上する
・圧縮記帳の適用の可否
返還不要が確定した日(=補助金の額が確定しその旨の通知を受けた日(20×2/07/27))であるため、進行期に圧縮記帳を適用する
【仕訳】
・申告期:交付決定、資産取得等
未収入金 ××/仮受金 ××(仮受金を用いることで収益計上をせずに処理できる)
資産 ××/現金 ××
減価償却費 ××/資産 ××(圧縮記帳を適用していないため、取得価額で減価償却をしている)
・進行期:確定通知
仮受金 ××/補助金収入 ××(補助金の確定通知が出たタイミングで仮受金を取り崩す)
現金 ×× / 未収入金××(入金時に未収入金を取り崩す)
圧縮損 ××/資産 ××(確定通知日に圧縮記帳を適用している)
減価償却費 ××/資産 ××(圧縮損を計上後の固定資産簿価で減価償却をしている)
【結論】
今回のケースは、補助金を申告期に収益計上する必要があるが、同期に圧縮記帳は適用できないケースに該当する
そのため、固定資産の先行取得に該当し、特別勘定を設定することで当期に収益計上せずに、通常の減価償却を行う
したがって、補助金の収益計上と圧縮記帳は翌期に適用する。
8.申告の際の注意点
別表13「国庫補助金等、工事負担金及び賦課金で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」を作成、添付する