最近1年の社会保険の改正ポイント(2022年9月時点)

2022年9月25日 カテゴリー: コラム

今回は直近1年の社会保険に関する主な改正点を振り返ってみましょう。

民法改正による成年年齢の引き下げ(2022.4.1~)

【民法第4条:年齢十八歳をもって、成年とする】

労働基準法の未成年者は「18歳に満たない者」として適用されることに変更となりました。
よって18歳、19歳については、これまでの20歳以上と同様の取り扱いとなります。

 

労災保険
特別加入の対象となる事業及び作業の範囲の拡大(2021.9.1~)

1.自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業
例:Uber Eatsの配達員(労災保険料率:12/1000)

2.あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)に基づくあん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師が行う事業
(労災保険料率:3/1000)

3.情報処理システム(ネットワークシステム、データベースシステム及びエンベデッドシステムを含む。)の設計、開発(プロジェクト管理を含む。)、管理、監査、セキュリティ管理若しくは情報処理システムに係る業務の一体的な企画又はソフトウェア若しくはウェブページの設計、開発(プロジェクト管理を含む。)、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン若しくはソフトウェア若しくはウェブページに係る業務の一体的な企画その他の情報処理に係る作業であつて、厚生労働省労働基準局長が定めるもの
一言で言うといわゆるITフリーランス。(労災保険料率:3/1000)

昨年以降フリーランスを主な対象として、加入が可能となる流れが来ているようです。

厚生労働省パンフ

 

雇用保険率の引き上げ(2022.10.1~)

一般の事業(労働者負担):3/1000→5/1000(給与等からの徴収分)
同時に事業主負担も増加されています。

引き上げの背景
①新型コロナウイルスによる雇用調整助成金の給付増加
2021年12月時点で5兆円を超える雇用調整助成金の支給が決定しています。
月2,000億円のペースで増加していますので、国庫としては大打撃です。

②新型コロナウイルスによる失業手当の給付増加

厚生労働省パンフ

 

国民年金手帳の廃止(2022.4.1~)

国民年金手帳を廃止し、変わりに20歳到達者など国民年金の加入者となった者に資格取得のお知らせとして「基礎年金番号通知書」の送付に切り替えることとなりました。

 

最低賃金の引き上げ(2022.10.1~)

東京都の最低賃金:1,041円→1,072円
※他府県はこちらのリンクよりご参照ください。

 

産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
育児休業の分割取得(2022.10.1~)

ざっくり言うと、パパは育休とは別に【産後パパ育休】を取得可能になりました。

パパ、ママいずれも【育休の分割取得】が可能になりました。

というものです。

詳しくは厚生労働書のご案内をご確認ください。

長年ずっと停滞していた、パパの育休取得率がやっと12%を超えたタイミングでの改正です。

これに関しては色々なしがらみがあると思いますが、個人的にはこれを契機に、もっとパパの育休取得が取りやすくなるとよいなと思っています。

 

今回の主な改正は以上となります。

全体としては、コロナウイルスの影響で雇用保険料の徴収や事業主の負担は増え、最低賃金が増加するという流れになっています。

ここに昨今の物価高が今後どのように影響してくのか、見守っていきたいと思います。

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