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~居住用賃貸建物の取り扱い~
2022年3月22日 カテゴリー: コラム
1.制度の背景
居住用賃貸アパート等の取得費は非課税売上(居住用としての家賃)に対応
⇒通常は仕入税額控除の対象とはなりません。
しかし、居住用賃貸アパート等を購入した事業年度に、それとは別に地金の売買等により課税売上げを発生させることで、課税売上割合を100%とし、物件の取得費に係る消費税の還付を受けようとする事例が多く発生していました。
そこで、1,000万円以上の居住用賃貸建物(棚卸資産または建物及びその附属設備、構築物など)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととしました!
※令和2年10月1日以後に行われる取引が対象(令和2年3月31日までに締結した契約に基づくものを除く)
2.居住用賃貸建物とは
住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であることが要件
⇒客観的にみて居住用として貸し付けている建物(付属設備を含む)
ex) 住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは
・建物の全てが店舗等の事業用施設である建物
・旅館又はホテルなど
・棚卸資産として取得した建物
⇒これら以外が居住用賃貸建物に該当する!
3.店舗兼賃貸住宅などの取扱い
店舗などの事業用部分と居住用賃貸部分とに合理的に区分します。
⇒建物の実態に応じた合理的な基準で!
ex)居住用賃貸建物を使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合
4.居住用賃貸建物に資本的支出を行ったケース
結論:居住用賃貸建物の制限対象になる!
※ただし、
・建物に係る資本的支出が高額特定資産に該当しない場合
・建物に係る資本的支出が居住用賃貸部分でない建物に対する支出であることが明らかな場合
⇒このケースは制限なし
5.居住用賃貸建物の判定時期
居住用賃貸建物に該当するかどうか
⇒課税仕入れを行った日で判定
※課税仕入れとは
商品などの棚卸資産の仕入れ、機械や建物等の事業用資産の購入または賃借、原材料や事務用品の購入、運送等のサービスの購入、そのほか事業のための購入をいう
6.居住用賃貸建物を課税賃貸用に転用した場合又は譲渡したケース
建物の取得にかかった消費税額×課税賃貸割合=事業用賃貸(=課税部分)に係る消費税額
※課税賃貸割合=居住用賃貸建物の貸付けの対価の合計額のうち課税賃貸用に供したことに係る部分/居住用賃貸建物の貸付けの対価の合計額
⇒事業用として賃貸している部分の消費税額とみなし、その部分について仕入税額控除が可能となります。
※第3年度の課税期間に加算します。
7.居住用賃貸建物の全部または一部を調整期間中に売却したケース
建物の取得にかかった消費税額×課税譲渡等割合=売却(=課税部分)に係る消費税額
課税譲渡等割合=(居住用賃貸建物の貸付けの対価の合計額のうち課税賃貸用に供したことに係る部分+譲渡価額)/(居住用賃貸建物の貸付けの対価の合計額+譲渡価額)
⇒売却した部分の消費税額とみなし、その部分について仕入税額控除が可能となります。
※譲渡した課税期間の仕入控除税額に加算します。
8.まとめ
次の2点を必ず確認!!!
1.居住用賃貸建物とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物
⇒課税仕入れの時点で住宅の貸付けの用に供するかどうかが不明な建物についても、住宅の貸付けの用に供する可能性のあるものについては、原則として居住用賃貸建物に該当
2.取得してから3年目までの間に
・事業用として貸し付けた
・売却した
⇒事業用部分(=課税)とみなして、貸付割合、売却割合に応じ一部仕入税額控除を認める